菅間岬 - soji Sugama Misaki - ソジ
羊毛を使用してホームスパンマフラーやニット小物の作品作りをされているsojiの菅間岬さん。
sojiとは素地のこと
羊毛は染色せず、原毛の自然の色味のまま糸に紡ぎます。
「羊も人と同じで一つとして同じものはなく毛質も様々。柔らかいもの、硬いもの、弾力があるもの、短い毛、長い毛など。染めたものに比べると華やかさはありませんが、自然の持つ素地の美しさを残したいと思い、基本的に染色はしておりません」
【 制作で大切にしていること 】
手で触り、考えるものづくりを大切にしています。
糸作りからはじめることは手間と時間のかかることですが、かたちになるまで手で考える時間ができます。素材を探りながら、
「もう少し油を抜いた方がいいかな」
「この羊毛はこのアイテムに使ったらどうなるんだろう」
など、思いもよらないこと余計な考えも生まれるかもしれませんが、一つひとつの行程の中で手で感じ取っては寄り道しながら作りあげることができる、大切な気づきの時間だと思っています。
【 活動をはじめるきっかけ 】
実はもともと素材としてのウールにはあまり興味がなく、綿や麻素材が好きでした。
きっかけは学生時代に羊毛の手紡ぎをしたことでした。
もともと編み物をやっていましたので毛糸は身近でしたが、糸から形を作ることが当たり前となっていましたので、素材から糸を紡ぐ作業は単純に楽しく、指先の操作で色んな糸が自由に作れる面白さに興味を持ちました。
それを機に羊毛についての特性であったり、多種多様な羊毛があることも知りました。
はじめて織り上げたマフラーを使った時は手紡ぎならではの包まれるあたたかみや表情に、 ウールの力はすごいなと感動したのも覚えています。
身近なウールと言えば衣類が多いと思います。私の中では毛羽や毛玉、チクチクするなどのマイナスイメージが他の自然繊維よりも強かった事もあり、今までのウールのイメージががらりと変わった瞬間でした。
そうした経緯で羊毛のことやホームスパンマフラーの良さをもっと色んな方に知ってもらえたらと思いsojiとしての活動をはじめました。
【 ブローチのこと 】
羊毛と、その原毛を活かしながら作品を制作するなかで紡いだ糸がどうしても余ってしまうことがあったそうです。
織りで少しずつ余ってしまった糸は織り物にするには半端な量でした。少量でもせっかく紡いだ糸です。刺繍糸であれば短い長さの糸でも使えますし、マフラーのポイントとしてもお使いいただけますので、何か作れないかと作り始めたものがブローチ作りでした。
あたたかく柔らかな手紡ぎの糸の刺繍。日々の中で拾い集めた四季折々のモノやコトが詰まっていて、絵本の1ページを開くように、どこか懐かしく優しい気持ちにさせてくれます。
そんなsoji 菅間岬さん作のブローチを当店ではお取り扱いさせていただいています。
【 これからのこと 】
手紡ぎ糸を使った定番のホームスパンマフラーやニット小物に加え、
冬がメインのウールですが、通年使えるものも今後創れたらと考えております。
原毛を手洗いし、手紡ぎした糸を使い、織り、編み、縫い、刺す。手で触れながら考え、そして季節を感じて。ひとつひとつ違う羊毛の素地の味を残した作品づくりを目指して、日々制作をされています。
- 経歴 -
1987年:
東京都生まれ
2010年:
武蔵野美術大学空間演出デザイン学科卒業
2012年:
大塚テキスタイルデザイン専門学校卒業
2014年:
sojiとして活動開始。
以降、雑司が谷 手創り市、企画展の出展。個展、ワークショップの開催
第54回 日本クラフト展 入選